Blender 4.2 LTS には Display P3 プロファイルが付いている

すこし前になるけど Blender の新しい LTS となる、4.2 LTS がリリースされた。以前のポストでも書いたけど、4.x にはカラーマネジメントの Device Profile にはじめから Display P3 が用意されている。

Mac で Blender を使っていて、私の以前のポストを参考にカスタマイズしたカラープロファイルを作っていた場合は plist ファイルや環境変数、OpenColorIO 設定などを削除しておかないと、せっかく公式でサポートされたのにその恩恵を受けられないので注意してください。

Blender Add-on Filter Tweak

Blender のアドオンを作った。Add-on Filter Tweak アドオン(ややこしい)。

Blender を使っていくと便利なアドオンをどんどん追加していくことになって、気がつくと N で表示されるサイドバー(通称 N-Panel)がたいへんなことになってしまう。

だいたいたとえば Auto-Rig Pro でキャラクターを作ってるときに Fluent のハードサーフェースモデリングの機能とか表示されてなくていいのである。Rigify でリギングされてるキャラクターを作ってるときは Game Rig Tools のパネルが出てほしいが Auto-Rig Pro のパネルは不要である。いっぽうで Auto-Rig Pro のワークフローなら Rigify の設定項目や Game Rig Tools のパネルは使わない。

Blender には標準機能として UI として有効にするアドオンをワークスペースごとにフィルタする機能がある(View3D > Sidebar > Tool > Workspace > Filter Add-ons)が、ワークスペースごとなので使いにくい(.blend ファイル内のすべてのワークスペースで個別設定)。

このあふれる N-Panel 問題を解決するための Clean Panels Pro というアドオンもある。私も使ってみたけどこれはこれで便利なものの自分にはオーバーキルな感じもした。

ようするに標準のアドオンフィルターですぐに .blend プロジェクト内の全ワークスペースに反映させたり、あれを簡単に全オン/オフできればいいのである。ということでそのための UI を追加するアドオンを作りました。

1.0 – mshibata/addon_filter_tweak – Codeberg.org

上記リンクからスクリプトをダウンロードしてインストールしてください。README.md ドキュメントはあるけどようは入れるだけです。

Blender のカラーマネジメント設定(完結編?)

あけましておめでとうございます。

macOS で Blender を使うときのカラーマネジメント設定」、「Mac の Blender でレンダリングした画像のカラープロファイル」、「続(?)Blender のカラーマネジメント設定」で細々と愚痴っていた Mac で Blender を使うときの色問題ですが、Blender 4.0 において「カラーマネジメント」の設定にめでたく「Display P3」が追加され、こちらでごにょごにょやる必要はなくなりました。

Color Management – Blender Developer Documentation

私はまだ 3.6 LTS なので詳しく試してませんが、少なくとも基本的な不満はこれで解消されたと推測します。

続(?)Blender のカラーマネジメント設定

2024-01-01 追記。「Blender のカラーマネジメント設定(完結編?)

Blender のカラーマネジメント設定、とくに広色域ディスプレイを持つ Mac で正確な色を見て作業するノウハウについて一昨年、昨年にブログを書いたのだけど、じつはそこで言ってる方法は理論的には正しいのだがなぜか Blender が落ちたりしてしまって実用上あんまりいいものではなかった。

いっぽうであいかわらずこのトピックは情報がマジでぜーーーーんぜん更新されなくて、同じような疑問を持った人がけっこうこのブログを検索で見つけて(というか日本語でこの話題を書いているのはここだけだ)試行錯誤してるみたいである。

で、じつは昨年くらいに最終解みたいのを見つけてしまっていたのだけどめんどうで書いていなかった。ツイートはしたかもしれない。というのも、ある YouTube 動画を見つけてそこにすべて述べられていたのである。

Blender configuration for ICC color accurate display with OCIO / ACES [English]

ここで言ってるとおりにすれば解決です。おわり。

あとはせいぜいだれかが日本語でこの内容を書いてくれればそれでいいんですがだれも書かないんですよ。なんなん

Mac の Blender でレンダリングした画像のカラープロファイル

2024-01-01 追記。「Blender のカラーマネジメント設定(完結編?)

前回の続き。Blender のバージョンは 3.0.1 時点での話です。

基本的に Display P3 の高色域なディスプレイを搭載する Mac で Blender を使うときのカラーマネジメントについては前回の通りで、このように設定すればビューポート上の表示は適切な色になる。

しかしこれで作成したモデルをレンダリングしようとすると結果はじつは正しい色にならない。

ならないというか、JPEG で出力すると Blender はカラープロファイルを考慮せずに問答無用で sRGB のプロファイルを埋め込んでしまう。Display P3 の色域の RGB を sRGB として記録してしまうので、この JPEG ファイルを(カラープロファイルをサポートする今日では一般的な画像表示ソフトで)表示すると薄暗い色となって出てきてしまう。

この不具合は前回紹介した Filmic Blender の作者である Troy James Sobotka さんが開発コミュニティに報告しているのを見つけたが、カラーマネジメントに理解のない開発者から「それはバグじゃない」とか言われて放置されていた(泣)。

この問題を修正するには、出力した JPEG 画像のカラープロファイル情報を書き替えてやればよい。カラープロファイルの「変換」ではないので注意。

Photoshop であればファイルを開き[編集]-[プロファイルの指定…]で、おそらく元は sRGB になっているところを「Display P3」にする。この時点で開いている画像の色味が正しいものに変わるはず。そして、画像を[別名で保存]すればよい。保存するときに埋め込むカラープロファイルは Display P3 でも sRGB でもよい。

ImgeMagic のコマンドラインでもできると思うけど割愛。