PDAの雑談パート5。もうすこし続けます。
秋のPalm, Inc.の新機種のリーク画像が出揃った(苦笑)ところで一席。OS 5にハイレゾ、ARMプロセッサ搭載のTungstenのほうはまあ、まだなんともいえないんですが、興味深いのはハードボタンが上下キーのほかにふたつだけ(しかもモノクロで拡張スロットなし、内蔵メモリはたったの2MB)というローエントリーモデルのZire。PalmInfocenterのコメントなんかを見てるとPalm, Inc.はなにをトチ狂ったのか、みたいな言いかたされてますけど(笑)、正直な感想をいえば、「まあこれでもいいんだよな」といったところ。
じっさい、自分のm505でも、すべての予定とアドレス、メモ、ToDoリストのデータをあわせたところで1MBあれば余裕で収まってしまうほどの量にしかなりません。Webブラウザとか、ゲームとか、動画再生環境とか、スプレッドシートとかを詰め込もうとするから8MBでも足りなくなるわけで、これはPalmInfocenterで誰かが書いてたことなんですが、ほとんどのユーザーはハンドヘルドを購入したままの状態で使っているんですよね(まあこれはあくまで普通の人もPDAを買う国の話ですけど)。
今日の予定を見る、買い物のリストを確認する、とっさの連絡先を調べる、こういったシチュエーションでZireのスペックが足を引っ張るかというとそうではないわけです。企業がなんらかのソリューションとして一括導入するとしても、既存のものなり自社で開発したPalmwareを数個インストールするだけであればじゅうぶん入るわけですし、少ないボタンの操作体系はデバイスの使い方についての社員の教育を簡単にします(なんかこのへん回し者みたいですが)。
Geek.comやPalmInfocenterにコメントを寄せる人たちをはじめとして、Webに露出しているPDAユーザーは多くがハンドヘルドをhackする人たちですんで、スペックでそれがcoolかどうかを判断するという傾向は否めないんですが、「Zen of Palmがどうの」とかいうのは別にしても、新製品で「削ってくる」というのはPalmらしいというか、ならではというか……。
Zireを見て「まあこれでもいいんだよな」と思った僕にとって、ハンドヘルドはコンピュータというよりは文房具なんですよね。Palm関連の雑誌記事や書籍、Webサイトは繰り返し「Palmを使いこなす」「このPalmwareでカスタマイズ」「PalmでWebサーフィン(死語?)」云々といったことを書いて、何百本収録とか銘打ったCD-ROMつけたりとかしてますけど、なんか違うような気がずっとしてます。文房具はhackするものじゃないでしょう? そういうメディアはPCの場合とおなじノリでコンテンツを作ってるわけですが、どれも中途半端で魅力に欠けるのはご存知のとおり。けっきょくエネルギッシュに活動を継続できているのは、hackしたい人たちが集まっている個人運営のWebサイトばかりです。ニュースも速いし中身も濃いから当然といえば当然のこと。
じゃあhackしてないPDAの雑誌やサイトを作ればいいかというと、それはそれでさっぱり面白くなさそうなのがまた難しいところですが(笑)。あるいは、手帳の置き換えというその位置づけからして、Palmデバイスはもともとプライベートなもので、メディアで盛り上がるシロモノではないのかもしれません……。