本のおすすめ
今回の件で、日本での著作権の扱われ方についてもう少し知っておこうかな、と思い、岡本薫『著作権の考え方』(岩波新書)を読みましたが、わかりやすくてよいと感じたので紹介しておきます。法的な専門知識は持たないが著作権を取り巻く動向に関心がある、という人に格好の書。著作権について抱きがちな誤解(僕もたくさん誤解していた)を払拭して、正しい議論をできるようにするための基礎知識が身につきます。今回話題になった輸入権や貸与権の話も載ってます。薄い本だし、文章も明確で読みやすいので、数時間もあれば読めるのではないかと。
興味深かったのは、レコード業界について「他の業種と比べて努力不足である」という趣旨の指摘がたびたび出てきたこと。CDのプロテクション技術は不完全で、不正コピー流出を阻止する自主努力が足りていない(DVDとの比較)とか、自動車産業は中古車流通によって新車の売り上げが影響を受けだした時期に、メーカー自らが中古車市場に参入して買い取りやディーラーを買って出たじゃないかとか、輸入権を持ち出さなくとも生産拠点を海外に移して逆輸入の形で価格を下げたりできるだろうとか(「著作権に頼りたい業界は、そうした努力は最初から念頭にない」
と手厳しい)。基本的に消費者と権利者の対立という構図でしかレコード協会を批判する理屈を説明できなかった(再販制度とで二重の保護になるとかは言えたけど)自分としては、膝を打ちっぱなしです。
しかしこの本を読むと、文化庁は世界をリードする著作権法制の最先端組織のように見えかねないのはちょっとアレかな(笑)。その文化庁でいま働いてる人間が、審議期間中にレコード協会会長のレコード会社のアーティストのライヴに用意されたVIP席に座ってたりしたわけで……。や、むしろその癒着が日本の著作権保護政策を世界をリードするまでに推し進めたってこと? なんだかなあ。
あらやだ、ちょっと最近blogふうですわ。