雑談。
昔(といっても数年前; なんせドッグイヤーなんで)、とあるコミュニティで活躍されていたとある方が、いま何をされているのか気になっていました。思いついたときに、その方のハンドル名でググってみたりしてたんですが、すっかり消息がわからなかったのです。
その方の当時活躍していたフィールドとは別のホビーを思い出して、それを検索語に絡めてみたところ、その方のものとおぼしき「はてなアンテナ」のエントリーが見つかりました。でもこのアンテナも登録されているサイトのほとんどが閉鎖されていて、使われている様子ではなかった。
ところが、きょうもまたふと思いたってそのハンドル名でググってみたところ、あるウェブログが見つかって、それがどうやら探していたその方の書いた記事だったようなのでした(そのページに掲載されてた写真から、人違いでないこともわかった)。そこはその方の個人のページではなかったのですが、そこ経由でその方のブログや、いま現在その方が活躍されているフィールドなんかがわかったのでした。結論としては、数年前とそう遠くないフィールドで引き続きお仕事されているようでした。一瞬暗い想像もしかけてたので、めでたしめでたしです。
それならそれで「あの○○さんがいまこんなところで活躍されている!」という雑談をここに書こうかと思ったのですが、なんとなく気が引けたのでこんなあいまいな書きかたにしてしまいました。というのはその方がブログで当時とぜんぜんちがうハンドルを名のられてたからです。
ハンドルを変えるというのはときどき(人によってはしょっちゅう)あることだと思いますが、それまでの経歴とか、リンクとかもまったく書かれていなかったので、心機一転したかったのかもしれません。とはいえその方が、かつて以前のハンドルについて「パソコン通信のころからずっとこれ(このハンドル)を使ってます。このおかげで音信不通になった人から忘れたころに思わぬ連絡をもらったりすることもあるんです」というようなことを書かれてたのが印象に残っていたので、なんだか意外な感じでした。
ウェブページを公開していると、あるとき突然、熱病のように「ウェブになんのしがらみのない生活」に戻りたくなることがありますが、そういう意味合いからかもしれませんし、もともとフットワークの軽い方なのでなんとなく思いついてそうされただけかもしれないのですが、もとのコミュニティからその方を知った身としてはちょっと複雑な心境。
(ちなみに、その方はネットでの活動経歴も長く、ウェブ・コミュニティの運営もこなせるような方で人付き合いもうまかった。だから最近よく聞くブログが炎上して逃げるように云々みたいなくだらない顛末でそうなったわけではないことは断言できる。)
あるサイト、ネット上のあるコミュニティに日常的に触れていると、そのサイトの運営者や常連ユーザたちと「面識がある」という感覚を持つようになる。会ったことないのに。だけどネットの上だけのつながりなら、各人はその気になればいつでもそこから消え去ることもできるわけです。
たとえば僕がいまemptypage.jpをいきなり閉鎖して、「いがぐり大臣」というハンドルで洋菓子のサイトをlivedoorブログではじめたら、だれも僕の心変わりについていける人はいない。みんなウェブページで移転のお知らせとかを礼儀だと思ってか載せてますけど、あれって礼儀どころかじつはほとんど生命線なわけです。
いったん「面識がある」という感覚を持ってしまうと、なんとなくその人がそのコミュニティを離れるときでも、どこに行くのか、くらいは知りたいと思ってしまう。たとえばいまやWZユーザでない人たちのサイトを僕がいくつかいまだに見て回ってるのはそういう心情からきてるんでしょう。で、そうした人たちがある日忽然とウェブから消えると不安になってしまう。
ウェブというのは、いったん参画してほかの人びとから認知されてしまうと、抜けるに抜けられないところがあって、抜けるとすわ「生きてるのか死んでるのかもわからない」存在になってしまいます。いやじっさいにはウェブなんてブログが更新されててもされてなくても、その人が生きてるのか死んでるのかなんて確実にはわかんないわけです。面識のある人以外は。ん? いや、なにを言おうとしてたんだっけ。
つまり人はウェブで一度「俺は生きてるぞ」と言ってしまうと、そう言いつづけることをやめたときに死ぬ存在になってしまうのです。明日も一週間後も一年後も何らかの形で「生きている」と言明し続けなければいけません。年をとってディスプレイの文字が読めなくなり、指にキーを打つ力がなくなっても、なにも言わずにブログの更新をやめてはいけません。少なくとも、「指に力が入らないのでブログを更新できません」というエントリだけは力を振り絞って投稿すべきです。そうして初めて、読者の while (alive) { write(blog); }
という絶え間なく続く評価ループは少しだけ緩められるわけです。
しかしそれでもほとんどの読者はあなたのウェブログをRSSリーダーから外しはしない。「もしかしたら」「いつか」更新があるかもしれないと、あなたが本当に死んだことを確実に知るときが来るまで(そんな日は来ないかもしれないというのに)、かれらはフィードをリロードし続けるのです。たとえあなたがかつて書いていたブログのことなどすっかり忘れてしまっていたとしても!
や、こんなことを書くつもりではなかった。よくわからなくなってきましたんでこのへんでやめます。あした朝早いし。