2008-01-14

明けましておめでとうございます。

更新情報

テンプレート処理用の Python ライブラリ、texttemplate.py を公開。

掲示板(まだ言ってるのかよ)でこれを使おうということで作りました。はじめ、HTML を解析したツリーを使ってテンプレート処理をしようと考えていた(し、実装していた)のですが、HTML にしか使えないのがやっぱり嫌になったので、汎用のテキストテンプレートです。まだ実用に供するものかはわかりませんけど。

余談だけど、このライブラリを作っている時に思いついたコードについて。

(locals() for a, b, c in iterable)

これは Python の、ジェネレータの内包表記というやつですが、この式を思いついたおかげでテンプレートの for ブロックをまともなものにするめどが立ったのです。

内包表記は、普通最初の部分で for に続く変数を使った式を書くものですが(たとえば、(x * 2 for x in range(10))、これは 0 から 18 までの偶数を生成するジェネレータ)、ここではその変数は使ってない。それでいて for 以下の変数(上の例だと、a, b, c)に代入しているのには意味があるという、へんな式。

# test.py

from pprint import pprint

L = [(1, 2, 3),
     (4, 5, 6),
     (7, 8, 9)]

for x in (locals() for a, b, c in L):
    pprint(x)
C:¥>python test.py
{'[outmost-iterable]': <listiterator object at 0x00B31B10>,
 'a': 1,
 'b': 2,
 'c': 3}
{'[outmost-iterable]': <listiterator object at 0x00B31B10>,
 'a': 4,
 'b': 5,
 'c': 6}
{'[outmost-iterable]': <listiterator object at 0x00B31B10>,
 'a': 7,
 'b': 8,
 'c': 9}

と、こういうことなのです。夜寝る時になってベッドの中でひらめいた変態的なコード。ちなみに変態的というのはベッド云々とは関係ない。

2007-12-31

『源氏物語』はすごい。ディケンズにもスターンにも先駆けていた! これはいずれちゃんと読まねば。だけど今頃になって『枕草子』が面白いとか、源氏がすごいとか盛り上がるって、考えてみると流行から千年くらい遅れてる。

雑談。

毎年夏と年末にのさださんがやんごとなき用向きで東京にやってくるにあたり、WZ 界隈で知り合った面々でおいしい店に迎えて歓談するという某所オフなる集まりがあって、かれこれ数年続いていますが、今年はみんなの都合が合わず流れてしまった。とくに意味深な話をするわけでもないのですが、ウェブで知り合った人たちとおいしいものを食べながら雑談するという体験は貴重でもあり、毎回楽しみにしているのです。夏こそはぜひ。

年内は無理だったけど、掲示板はいま作業中です。フィードはまだ。ところで、このページを MyRSS.jp に登録している方もいるようで。しかもなかなかよくできた RSS を作ってくれるみたいです。なんだ、それでいいじゃん、と思ってしまったので、RSS 吐くようにしようという思惑はやや減衰。

(あんまりいろいろ書いてると年が明けてしまうので。)それではみなさま、よいお年を。

2007-11-25

雑談。

INFOBAR 2 がなかなか完成度高くて、機種変更してしまおうかと迷う。地元の au ショップでモックを見かけたので触ってきたのです。デザイナーの頭の中のイメージそのまま製品化できてるんじゃないかというくらい無駄のない外形。かっこいい。もっとも、コンセプトモデルから妥協なしで製品化というのは talby の頃から実現されてました。いま使っているのはその talby で、けっこう気に入ってますが、個人的には深澤直人のデザインが好きなのです。そのわりには深澤プロダクトはなにも持ってなかったりするけど……。ただ清廉なるテレビなし生活にケチがつくのがなあ。

INFOBAR みたいに進化していくのは悪くないけど、よくできたデザインの携帯電話はそのまま中身を現行機のに載せ換えて売ってくれてもいいのになあとよく思う。毎回毎回デザイン使い捨てはもったいない。それに機種変更の時にいつも「これでこんどはいつまで……」と覚悟がいる。深澤デザインも、本当はいちばんベーシックなモデルとしてコンスタントに供給されてるのがコンセプト的には理想なんじゃ。

といっても、デザイナーズプロダクトというのにはこの手の矛盾がよくある。普遍的に使われるものとして生み出されながら、本当に普遍的には流通しない(高いから)。そりゃ俺だってダイニング用にセブンチェア置きたいけど、一脚四万円を超えるのはちょっとね、という。

そういうわけでダイニングチェアが欲しくて、スタッキングできるやつを探し中です。いま使ってるのは折りたたみのちゃちなスツールで、人を呼ぶとものすごく評判が悪い。

2007-11-18

更新情報

先日の件を踏まえて、「『知的財産』だって? そいつは砂上の楼閣だ」に手を入れた。

あと、wol.py という小さなスクリプトを置きました。

2007-11-15

雑談。

最近あまりパソコンを叩いていないのです。何をしてるかというと、平安時代について調べたりしています。『枕草子』とか読んでいる。古語辞典も買った。自宅用と携帯用と、ふたつも。何がおもしろいとかは、どこから興味を持つかで変わってくるものなのですよ。

前々からほしかったワーキングチェアを注文。プログラムとかはこれが来たらやってやる、と思ったら、納品は今年中は難しいと思いますだって。

ストールマンの知財エッセイの翻訳が、ほかにふたつも出ていた

前者は2007年10月15日、後者は2007年10月23日公開。10月のストールマンの来日に刺激されたのではないかと。

べつにいいけどさ。というよりも、ある程度の量の文章の翻訳を自分のも含めて三つも比較できるというのはなかなかない経験で、おもしろいです。へんな言いかただけど、どれも似てたのが意外。元が同じ文章なら似て当たり前、と思われるかもしれないけど、訳している時は訳文の候補としてけっこういろんな可能性を切り捨てているので、ほかの人がやったらぜんぜん違ったものになるのではないかと思うのですよ。厳しい言いかたをすれば、どの翻訳も辞書から抜け出せていないということなのかもしれない。

しかしこれらの翻訳を読んでたら、拙訳に明らかな誤訳を見つけてしまった。いま英文を見ると、なんでこんなものをというような簡単な文だ。作業中は頭の中がいっぱいいっぱいなので、単純な英文をわざわざ難しく考え込んだりしてしまう。見直しはしてるつもりなのですが、それでも一度引いて見るというのは大事だということ。

以下、こういう話に興味のある人向け。

間違ったというのは、“Nothing could be further from the case.” という文で「これほど事実からかけ離れたものはない。」とでもいう意味。これらは上記二訳では「これほど事実と異なることはない。」「しかし、これほど事実と異なることはありません。」としている。それを拙訳では「この件に関しては、これ以上のことは言いようがない。」と訳し違えている。単語 case を取り違えたせいですが、こうして書くと恥ずかしいのう。

それから、“if you learn some fact about copyright law, you’d be wise to assume that patent law is different.” を自分は「著作権法についていくらか調べてみれば、それが特許法とは違うものだということにすぐに気づくだろう。」としているが、上記二訳では「もしあなたが著作権法について少し学ぶなら、特許法は異なるものだと仮定した方が賢明だろう」「あなたが著作権法についていくつかの事実を学んだとしても、特許法はそこで学んだこととは異なっていると仮定したほうが賢明でしょう」とどちらも同じような文章にしている。じゃあこれは自分のが間違ってたのかと取り下げたくなるけど、実はこれはまだ完全には(自分が間違っていたという)自信が持てない。would に「〜したほうがよい」って意味はないのでは? もっと辞書の解説を読まないとわからないな。そしてこの部分の解釈が、続く “You’ll rarely go wrong!” の訳しかたの違いにつながっている。誰かご指導いただける人はメールください。

さらに、長いところで、

Economics operates here, as it often does, as a vehicle for unexamined assumptions. These include assumptions about values, such as that amount of production matters, while freedom and way of life do not, and factual assumptions which are mostly false, such as that copyrights on music supports musicians, or that patents on drugs support life-saving research.

という段落(の二文目)。長いので訳文は引用しませんが、自分は matters を名詞ととってしまったために不自然な訳になってしまっている。そのせいでここはすごく苦労したのを覚えているので、いま読み返すとぜんぜん難しくないのに拍子抜けしてしまう。ハマっている状態というのは恐ろしい。

と、このあたりの修正を今週末にでもしたいです。