いろいろお話ししたいことはあるけれども近頃あまり調子がよくないのでうまく書けない。
解説を書くのは難しい
リンクはしないけど、最近載った @IT の XHTML 解説記事がひどい。いや、記事の正確性とか、そういうのは置いといて(そっちも怪しそうだけど)、そもそもまともな日本語の文章になってない。
導入。
文書構造を表現するXHTMLタグを大まかに分類し、分類したタグをXHTMLの“要素”として、1つずつ紹介していきます。
これらの要素類はXHTMLの骨格(枠)となる部分を形成していくために使われる、XHTMLタグの記述(=マークアップ)を行ううえで基礎となる要素類です。
htmlタグが一番の外側(先祖)となり、その内側(子)に上からhead要素、body要素といった順番でマークアップされます。
html 要素。
htmlのそれぞれの要素はhtml要素を頂点とする階層構造になっています。
その中でhtml要素は最も基礎となる要素で、そのほかの要素はすべてがhtml要素の子や子孫(※)となる関係性になります。
なお、htmlファイルを作成するときにまず記述するべきタグの1つで、その直接の子(1つ内側)としてbody要素とhead要素が記述されます。
body 要素。
body要素の内側に記述された要素が、ブラウザ画面上にレンダリングされるようになります。
視覚的に確認できる部分であり、この内側にdiv要素を使ってワイヤーフレームとなるブロックをマークアップしています。
これは並びが構文上間違ってないというだけの単語の羅列だぜ。マルコフ君。
こうした記事をでたらめとか意味不明とかいって叩くのは簡単だけど、それではどうしてこうなってしまったのかを考えてみる。
この記事のなにが問題かというと、ひとつはこの記事の著者が、解説とは「ある知識について、それを知らない人に、その人が知っている範囲の知識で語ること」なんだという点を理解してないという点にあると思う。「自分が知っていることを書けばそれが誰かの役に立つ記事になる」などと思っていてはまともなドキュメントにはならない。
この記事は導入に「文書構造を表現するXHTMLタグの正しいマークアップ方法のリファレンスをスタートします」と書いてある(というかこれしか書いてない)。この文は、XHTML やマークアップがどういうものかわかっている人にとってはとりたてて意味がなく、それについて知らない、つまりこの記事の対象となる人々にとっては理解できない。いってみれば「この文は日本語です」と書かれている看板のようなものだ。上に引用した文章についても同様のことがいえる(その上たちの悪いことに「要素類」とか「ワイヤーフレーム」とか、あやしい勝手用語を交ぜている)。そのことについて知らない人にとっても意味をなす言葉で語らなければいけない。
もうひとつは、読み手にとって新情報が出てくるまでの「ストーリー」が用意されていないという点。コンテキストといってもいいと思うんだけど。この記事は「リファレンス」と銘打っているけど、それはひとつには著者に解説をうまく進めるための「ストーリー作り」ができないことの「言い訳」として、そうなっているのではないかと思われるふしがある。なにかの解説記事を書いたことがある人ならだれでも、本題に持っていくまでのこの「ストーリー作り」の難しさを知っているはず。
だけどこれは重要で、教える側が教わる側の言葉で語り、なおかつ両者がストーリー(コンテキスト)を共有しているとき、はじめて教わる側にとって解説が「意味のある」ものに聞こえてくるものだと僕は思う。これができていない記事は、よくわからないまま読み進め、最後まで読んで初めて「自分が知りたいことじゃなかった」と読者が気づくような代物になってしまう。「○○について話をします。みなさんはこんなことを知っていて、こんなことをしてますよね? ではこれについてはどうですか? よくわからないんじゃないですか? ここでは今からそれについて解説したいと思いますね」というようなイントロダクションがあれば、読者はその記事が自分の求めているものかどうかがすぐにわかる。
なんか昔 WZ のマクロ入門書いた時のことを思い出す。あのときも言葉は違うけど、似たようなことを言ってたような気がする。
さてこういった記事を書く人々も今では自分より年下だ。あるいは僕も昔はこんなだったのかもしれない。どうかな。
でも文章は練習すればうまくなるからね。