Kindle 3 を買ったので。
Kindle 3 について
Kindle 2 からの変化を踏まえた、Kindle 3 についての覚え書き。
筐体
小さく、軽くなった。Kindle 2 でもじゅうぶん小さく、軽かったけど。
キーボードが一列減って、数字キーがなくなった。数字は記号と同様 SYM キー経由で入力する。でも意外と困らないよ。というかキーボードはあまり出番がない。
新しい 5-way ナビゲーションキーに慣れない。Kindle 2 のもあんまり操作しやすくなかったけど。Kindle 3 では、 5-way ナビゲーションの下に Back ボタンがあるのだが、下方向を押しているときに間違ってこの Back ボタンに触れてしまい、操作画面が一つ前に戻ってしまうことがある。これはたいへんなストレス。慣れればいけるのかなあ……。
ディスプレイ
Kindle 2 よりも良くなった(黒がより黒くなった)。が、劇的に変わったわけではない。Kindle 2 でもなかなかの品質であった。表示品質のためだけに Kindle 2 から買い換えることはない。
(ちなみに、前に某氏に聞かれて即答できなかった、Kindle ディスプレイの仕様は、 600 × 800 ピクセル、16 階調モノクロ電子ペーパー。)
電子ペーパーを見たことない人にその表示品質を説明するのは難しい。コントラスト的には新聞紙くらいで、それをラミネート加工した感じといえば近いだろうか。
ファイル名やコンテンツで日本語が表示できるようになった
正確にいうと、日・中・韓およびキリル文字のフォントを内蔵した。
これがいちばんありがたい。USB でパソコンとつなげて UTF-8 のテキストファイルを放り込めば、そのまま読める。小さな文書ならわざわざ電子ブックのフォーマットにする必要もない。
日本語の書体は、出自がよくわからないのだけど、独特のゴシック(サンセリフ)体。意外とまともなんだけれども、読書に最適な書体とはいえないことも確か。技術書やビジネス書なら気にならないかもしれないけど。
Kindle 3 で書体は 3 種類から選べるようになったが、どの書体を選んでも日本語の書体は変わらない。内蔵フォントによる日本語コンテンツの表示品質に過度の期待はしないように。Kindle 3 になっても日本語の本格的な読書は PDF に頼ることになると思う。
それから、日本語の入力までできるようになったわけではないことに注意。コレクション(タグのようなもの)を作っても、そのコレクションに日本語の名前を付けることはできない。ノートやソーシャル・ネットワーク機能などで日本語を使えれば素晴らしいのだけれど。
あとはまあ当然といえば当然かもしれないけど、日本語の読み上げには未対応。日本語はぜんぶ読み飛ばします。まあしかたない。(PDF 以外での)縦書きも非対応。まあ当たり前。世の中人がやってくれるのを待ってちゃ駄目なことだってある。
とはいえ、ずらっとならんだローマ字の書名から文書を探すのは苦痛だったので、スキャンした書籍や、「青空キンドル」でPDF にした「青空文庫」の作品など、日本語のデータをたくさん Kindle に入れていた人には便利。
なお、PDF の表示では、日本語の文書はこれまで同様フォントが埋め込まれている必要があるのには注意。
WebKit ベースブラウザ
Kindle にもモダンなブラウザが搭載された。しかし相変わらず “experimental” 扱い。ほんとに WebKit で、JavaScript まで動くので、ぴょこぴょこ動くページでは電子ペーパーの表示速度だとかえってつらいのが泣ける。このあたりが実験的とされるゆえんか。
しかし日本語のページも問題なく表示できるので、テキスト主体のブログなどならそのまま読める。それから、日本語が最初から使えることで、ウェブから Kindle 向けにコンテンツを配布できるハードルは下がったと思うから、ユーザーベースでの今後の展開は期待できるかもしれない。
しかしこのタイミングで「青キンDirect」がなくなるのは残念すぎる……。
ちなみに、Kindle は(2 も 3 も)ディスプレイの書き換えが遅いので、これをウェブブラウジング用のタブレット端末として使おうというようなことを考えてはいけません。リファレンス的な用途にもまともに使えません。小説やエッセイなどの読みものをじっくり腰を据えて読むのに最適化されたデバイスです。小説を読むことだけに特化されていると言ってもいいくらい。便利デバイスが欲しい人は iPad を買いましょう。